まちへ出てフリーで振る舞う
「第三の趣味」が世界を変える.

みんなの
パーソナル屋台


the third interest 
A personal stall can change the world.

「パーソナル屋台」なんて、どうして考えはじめたの?
なれそめを、少しお話しましょう。

(c)Aidan Jones



「第三の趣味」
貢献が趣味になる時代




私たちはある日、自分たちの事務所の片隅に3席の小さなバーカウンターをつくり、日々、友人知人を招いては、何の目的もなく、無料でお酒を振る舞うことをはじめました。お金は出て行く一方です。しかし、いつしかこれまでにない幸せな気持ちが生まれていることに、気付きました。この気持ちは、お金のやりとりが介在していたら得られない、何かだ。

かつてアドラーは「幸福三原則」を謳いました。「1.自分を好きであること」「2.他者が信頼できること」「3.社会や世の中に貢献できる・役に立つこと」この3つが揃ったとき、人は幸せを感じるというわけです。



アドラーの「幸福」を、人が幸せのためのする活動、「趣味」に置き換えてみました。すると「1.自分を満たす趣味」「2.他者と楽しむ・交流する趣味」「3.社会や世の中に貢献できる・役に立てる趣味」というふうになります。そして、気付いたのです。世の中にある趣味と呼ばれるほとんどは、「1」と「2」であること。また、私たちが事務所の小さなバーで行っていたことは、「1」でも「2」でもない「3」、つまり「第三の趣味」だったのです。



車が趣味、旅行が趣味、農作業が趣味ということと同じように、小さくても社会や他者を楽しませたり、貢献できる趣味の形がある。この発見は、このプロジェクトの大きな原動力となりました。

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「野点以上屋台未満」
マイパブリックを
移動させる装置


もし、このバーカウンターを移動型にして、気軽に外へ出ることができたらどんなことが起きるだろう、どんな光景が広がるだろう。東京のまちを歩いていると、ちょっとした都会の隙間に、居心地のよい場所があったりします。そんなところに出現できたら、行き交う人とほんの少し話たりできるかもしれない。そのためには新しいツールが必要だ。


そこで出てきたキーワードが「野点以上屋台未満の何か」でした。気軽に移動できて、どこにでも出現できて、そこにひとときの場をポップアップできる仕組みまでを持つ、モバイルなパーソナル屋台。2014年夏ごろ、いろんな人にそんな話をしていたら、手を挙げて下さったのが、ツバメアーキテクツ建築家・山道拓人さんでした。



それ以降、この小さな小さな設計に10回以上の打合せを重ね、ついに2015年6月、私たちの小さなパーソナル屋台が竣工します。 現在、都市のどこかに出没するオープニングパーティーを計画中。こちらは決定次第、お知らせさせていただきます。

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スタディー中の屋台の模型


ポートランド、南アフリカ、ドバイにて公共空間のリサーチ




1.まちの隙間で
2.自分のやりたいことを
3.無料でする


プロジェクト3ヵ条


私たちは、このプロジェクトに3つのポイント「1.まちの隙間でやる」「2.自分のやりたいことをやる」「3.無料でする」を設けました。パーソナル屋台というツールの上で、この3つのことを考えることが、このプロジェクトの大きな軸となります。



「1.まちの隙間でやる」ということは、都市計画と私について考えること。まちや都市が、誰のものかについて考えることです。私たちは都市に線を引くことが許されていませんが、たとえばパーソナル屋台を都会の交差点に佇む樹木の下で開けば、そこにはひとときの賑わいが生まれます。それは言い換えると、都市計画に一個人が新しい用途を書き加えたということなのかもしれません。どのまちにも、魅力的な隙間があるでしょう。そんなマイクロパブリックを最大活用することで、まちは、都市は、少し人に寄り添う形で、生まれ変わるのではないでしょうか。


「2.自分のやりたいことをやる」ということは、趣味と私について考えること。多くの人の趣味は、自分のため、あるいは他人と楽しむための趣味です。しかし、「第三の趣味=社会や世の中に貢献できる・役に立てる趣味」ことで得られる幸福感は、多くの人にまだ体験されていません。また、現代は多くの人が、能動的に関われるフィールドを求めているとも思われています。そこで、これを機会に、自分であればどんなことができるのだろうか、ということを考えてみようという提案です。



「3.無料でする」ということは、社会貢献と私について考えること。社会貢献というと、皆さんは、何をイメージしますか? ボランティア活動? あるいは寄付? もちろん、それらも社会貢献でしょう。しかし、ここではもう少し広義な社会貢献の可能性を探ってみたいのです。たとえば、あなたに密かに備わっている知識や技術、ちょっとした趣味を他者に無料で提供するだけでも、それは小さな社会貢献と言えるのではないでしょうか。しかし、これらは日常的に、あなたの中に閉じこもっているのです。

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世界中のまちに
パーソナル屋台を!
小さなスクールも開催


私たちは、まず自分たちの屋台をまちへ出して、珈琲を配ってみようと考えています。けど、もし他の人がやるのであれば、どんなことでもいいと思うのです。ある人は手作りジャムを配ってもいい、ある人はマッサージするのだっていいでしょう。暑い日に、一口のかき氷を配るのも素敵です。とにかく、その人が能動性をもってまちへ出ること。そこから何かが変わるはずです。

さらに、私たちはこのプロジェクトを、いろんなまち、都市、国で楽しんでもらいたいと考えています。そのきっかけに、機会があれば、小さな学校のようなものをしてみたい。受講生の人とまちを歩き、フィールドワークをしながら、自分なら何がしたいか、どんな場所でどんなふうにしたいか、それにはどんなパーソナル屋台がいいかを一緒に考えていく。最後は、DIYで屋台をつくったら、一緒にまちに繰り出し、そこへひとときの賑わいを生み出す。そんなイメージです。

能動性をもった人とパーソナル屋台という小さなツールが、まちにぽつぽつ現れはじめたとき、そのまちはどんなふうに変わって見えるでしょうか。トップダウンの政策やまちづくりではなく、一市民が個人のチカラで大好きなまちや都市にダイレクトに関わることで生まれる、まだ見ぬ風景にワクワクしています。

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パーソナル屋台が都市に広がる光景の先には...