アーバンキャンプを開催してみると、
いろんな効果があることがわかってきました。
ここでは4つのポイントにまとめてみたいと思います。
1.ひとは、まちを能動的に楽しむ力を持っている
都市の居心地のよさは、
自分たちでまだまだ生み出せる.
キャンプで一緒になった人たちの
キャンプサイトの使いこなしに、刺激を受ける数日間.
運営側として、さまざまなコンテンツを用意しましたが、まずそこへ来た人たちは、テントを張ると思い思いにその空間を楽しみはじめました。四方をビル群に囲まれながらも、スコンと空が抜けていて、とても都会のど真ん中だとは思えないシチュエーションを全身で感じながら、ある家族は、子供たちと一緒にガーランドをつくりはじめ、テントの周りに彩りを加えていき、ある男性は、ゆったりとした椅子に腰掛けて、リラックスして読書をはじめたのです。
2.まちに泊まるからこそ見えてくるものがある
都市でキャンプをしてみると、
キャンプサイトがまるで自分のリビングのようになる.
そして自分がひとときの住人になれる.
周囲のまちも一体で楽しめるすばらしい体験!
都市にテントを張って、寝泊まりして、何が楽しいの?と思う方も少なくないかもしれません。しかし、あえて都市の真ん中にひとときの自分の家を持ち、改めて都市を楽しみはじめると、これまでにない気付きが、たくさん生じてくることがわかりました。
ある夫婦は、テントを張ると渋谷へ映画を見に行くと言いました。彼らは、渋谷を満喫したあと、神田に帰ってくる。ある子連れの家族は、神保町にある老舗の名物喫茶店を経由して、古本祭りを間満喫してきました。夜は、買ってきた絵本をテントの中で読んであげる。近くに勤めているOLグループは、夜になると歩いて近くの銭湯へ行きました。帰ってくると「まちを歩くことさえ非日常で楽しかった!」と話してくれました。
どのひとも、さまざまな体験を興奮気味に話してくれるのです。都市のなかに、ひとときでも住むという体験は、そのまちの魅力を改めて参加者に感じさせる力があるようです。もしかしたらこれは、東京だけに限らず、さまざまな地域で、やってみる可能性があるのかもしれません。
LINK:SNS上の参加者の感想まとめ
http://togetter.com/li/741416
3.エリアブランド向上につながる土地・建物ストックの活用
広大な空き地の活用はもちろん、
さまざまな遊休不動産でもアーバンキャンプはできる.
さらに参加者と地域をつなげることで、
エリアブランド向上にも貢献.
1回目の敷地となったようなビルの取り壊しから着工前にかけてのサイトはもちろん、その他にも、空きビル、空き部屋、空きバルコニー、駐車場、道路、歩道、公園など、さまざまな場所で、アーバンキャンプを行うことは可能です。都市でキャンプをしてみるという試みは、これまでにもいくつか存在していました。しかし、私たちが提案したいアーバンキャンプは、キャンプを通してストック活用を行うと同時に、周辺エリアのさまざまな魅力的資源やコンテンツと参加者とをつなぐことで、その地域ごとのブランド向上を目指すものです。都市内の有休不動産活用から、新しい都市のエリアブランド向上をつくりだすことの可能性は、日本のどの場所にも潜在的に持ち得ているものだと考えています。
また、2020年の東京オリンピックへ向けて、近年の外国人旅行者の増加に伴い、都市部はホテル不足になっています。アーバンキャンプは、都市のエリアブランド向上と連動したソーシャルな新しいホテルプロデュースの可能性を持っているはずです。
4.地域の価値の発見と共感が、まちをつなぐ
地域の人に協力してもらってつくる
そのまちならではの都市体験プログラムが
宿泊する人、地域の人、来街者の間に
新しいコミュニティを生み出す.
アーバンキャンプは、サイト周辺の地域性にこだわり、そのまちならではの都市体験プログラムを積極的に用意します。飲食の店舗、ワークショップ、その他イベントごとに関しても、すべてができるだけ、その地域ならではのもの、その地域の人の手によるものがベストだと考えています。そうすることで、宿泊者は、そこにただ泊まるということだけではなく、その地域全体をざまざまな瞬間に体現できるようになります。また、地域の人たちに積極的に運営に協力していただくことで、宿泊者との間に交流が生みだし、互いの新しい発見が、次のまちづくりを促進する基盤にもなっていきます。